カナダ出身のアーティスト、ジョニ・ミッチェルが作った「Both sides, now」は切なくも美しいメロディーで、学生時代から好きな楽曲のひとつでした。
歌詞の内容についてはこれまで深く考えようとも思わなかったのですが、現代の世界の状況やその中に置かれた子ども達、若者のことを考えるようになってから、この邦題「青春の光と影」という楽曲が気にかかるようになり、内容をつぶさに調べてみようと思いました。

やたら韻を踏んでいるのと、やや感覚っぽい内容である為に、直訳することの難しい歌詞だと思ったのですが、私の個人的な解釈として、標題のように『 理想と現実を知る少年期から青年期の心情を描いた楽曲 』として訳詞を考えてみました。
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(*本記事に使用している画像は全て著作権フリーのもので、内容とは直接関係がありません。)


紹介している動画は、ニュージーランド人のアーティスト、ヘイリー・ウェステンラのものです。ジョニ・ミッチェル本人やジュディ・コリンズの音源も素晴らしいのですが、絶対音感を持ち、高音の伸びが素晴らしいヘイリーのバージョンが気に入っています。しかも、彼女のwikipediaにあるチャリティー活動 「ユニセフ親善大使である。ガーナでは、遠くから学校へ通う貧しい地域の少女のために自転車を買うための資金集め"Bikes for Ghana"に協力している。このほかにもイギリスでのいじめ防止の活動 やニュージーランドでの乳癌の早期発見の啓発活動 などにも取り組んでおり、こうした世界でのチャリティー活動は高く評価されている。」という文面に惹かれました。


Both Sides, Now   /  Joni Mitchell 

words: Joni mitchell  /  translate: 江島 達也 (正式かつ正確な訳詞ではありません)

Rows and flows of angel hair
天使の髪のしなやかな流れ


And ice cream castles in the air 
空に浮かぶアイスクリームのお城        

And feather canyons everywhere,        
そこら中に広がる羽毛の渓谷


I've looked at clouds that way.          

私は「雲」をそんなふうに見てた 

But now they only block the sun,
でも今、「雲」はただ太陽の光を遮るもの         


They rain and they snow on everyone
いたるところに雨を降らし、雪を降らす存在

So many things I would have done, 
たくさんの事ができたはずなのに        


But clouds got in my way.              

「雲」は時に私の前に立ちふさがった

I've looked at clouds from both sides now
私は今では、「雲」を両側から見た


From up and down and still somehow
上からも下からも、そして今なお、なんとかして
  

It's cloud illusions I recall
それは「雲」の幻影だったと思い返す               


I really don't know clouds at all  
私は本当に「雲」のことを何も知らなかった        




Moons and Junes and Ferris wheels,
蜜月、ジューンブライド、大観覧車・・・

The dizzy dancing way that you feel 
ふわふわとしたダンス         


As every fairy tale comes real, 
それは全てのフェアリーテイルが本当になるような         


I've looked at love that way.            

私は「愛」をそんなふうに見てた        

But now it's just another show, 
でも今、それはちょうど何か別の演劇のようなもの        


You leave 'em laughing when you go
舞台から降りるときは笑いながら去っていく      


And if you care, don't let them know,  
それを気にするのならば、誰にも知られてはいけない     


Don't give yourself away.
決して自分をさらしてはいけないもの

I've looked at love from both sides now
私は今では、「愛」を両側から見た

From give and take and still somehow
与えることからも 与えられることからも そして今なお、なんとかして

It's love's illusions I recall
それは「愛」の幻影だったと思い返す 

I really don't know love at all
私は本当に「愛」のことを何も知らなかった


        

Tears and fears and feeling proud,
涙と怖れ、そして誇らしい気持ち

To say "I love you" right out loud
「愛してる!」と大声で叫ぶこと

Dreams and schemes and circus crowds,
夢と人生設計、そして喝采する群集

I've looked at life that way.
私は「人生」をそんなふうに見てた        

Oh but now old friends they're acting strange,
でも今、昔からの友達は皆、おかしなことをする

They shake their heads, they say I've changed
彼らは皆、頭を振りながら、「私は変わった」と言う

Well something's lost, but something's gained
そう、いくつかを失ったけど、いくつかは手に入れた

In living every day.
毎日の生活の中で

I've looked at life from both sides now
私は今では、「人生」を両側から見た

From win and lose and still somehow
勝つことからも 負けることからも そして今なお、なんとかして

It's life's illusions I recall
それは「人生」の幻影だったと思い返す 

I really don't know life at all
私は本当に「人生」のことを何も知らなかった

I've looked at life from both sides now
私は今では、「人生」を両側から見た

From up and down, and still somehow
上からも下からも、そして今なお、なんとかして

It's life's illusions I recall
それは「人生」の幻影だったと思い返す

I really don't know life at all
私は本当に「人生」のことを何も知らなかった

It's life's illusions I recall
それは「人生」の幻影だったと思い返す

I really don't know life
私は本当に「人生」のことを知らなかった

I really don't know life at all
私は本当に「人生」のことを何も知らなかった


「Both sids, now」の表そうとした世界観は何だったか?について、私は以下のようなことではないかと考えました。

全ての人間は、この世に生れ落ちた後、「この世界において、愛されるべき存在」であろうと期待しながら育っていきます。
そして、もの心つく頃、彼らが最初に触れ親しむのはテディィベアやかわいいマスコット、そして人形などでしょう。
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蜂も熊も愛すべき存在であり
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愛するものに囲まれて眠る
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誕生日は素晴らしい特別な日であり、今後もそんな毎日がずっと続くのだと思う
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しかし、数年も経つと、そんなことは無いということが嫌でもわかってくる
保育園の卒園式で「私の夢はお花屋さんです」と笑顔で答えていた少女は、数年後には「花屋なんて、儲からないから、できるわけない」なんて言うようになってしまう
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自分が期待され、愛される存在などではないことを思い知らされたりすることに気づくこともある
或いは、人よりも自分は劣るとも・・・
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数ヶ月前、真新しいランドセルを抱えて歩き回っていたその姿が嘘のように、学校への足取りが重いこともある
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世の中は、はじめ自分が思っていたような「よく出来たもの」ではなく、何のために自分は生まれてきたのかさえわからなくなってしまうことも・・・・
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「戦争は絶対にいけない」と言いながら、今も世界のリーダー達が戦争をやり続け、一方で貧困に苦しむ人があまりにも多いことを知り、理解に苦しむことも
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いつからクマさんが
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ガンに変わってしまったのだろう
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それは「青春の光と影」というよりは、夢に満ち溢れていた幼年期から、問題だらけのこの世の現実を思い知る青少年期を描いた楽曲というものではないかと感じます。
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そして、そのような毎日の中においても、自分らしさを探しつつ一歩一歩進んでいこうとする青年を描いた、この楽曲は本当に秀逸なものであると思うのです。

Both sides,now(邦題:青春の光と影)がリリースされたのは、1969年。ヘイリー・ウェステンラが生まれたのは1987年のニュージーランド。1985年にカナダで生まれたアーティスト、カーリー・レイ・ジェプセンもまたカヴァーしていることから、この曲が半世紀近く経ってもなお、時代や国境を越えて人々に影響を与え続けているのだ、ということがわかります。