「そがん簡単にでくるもんじゃなかとよ。」・・・・このプロジェクトのことを、かつて長崎の町で馬方さんだった方に話した時の反応でした。
「荷を背負って階段を歩けるようになるまで、数ヶ月かかることもあるし、とうとう歩ききらんやった馬もおるとよ。歩きよった馬でん、数日歩かんやったら、だめになることもある。そがん簡単なもんじゃなか・・・」
当たり前なのですが、なかなか厳しい内容でした。
その坂道を荷を背負い歩こうという今回のプロジェクト。大村のカフェ「waranaya」さんで飼われている対州馬の里子(さとこ)にとっては、まったく経験の無いことであり、当日の天候や長距離の移動、慣れない環境、里子の年齢など不安材料はそれこそ尽きなかったのですが、考えてばかりでは前に進めないし、飼い主である霜川君の「やれます!」という力強い言葉に賭けてみようと思いました。
本番の2日前、階段登りの練習に向かいます。今回はNBCの「あっぷる」さんが張り付き取材を行ってくれ、こちらとしても頼もしく思いました。やはり取材があるとやり甲斐というものが違います・・・。
ここ数日非常に天候が悪く、この日も小雨がぱらついてました。雨だと里子が足を滑らせ危険なので、イベントは中止せざるをえません。
練習の場としたのは、諫早市本野地区にある明教寺(みょうきょうじ)というお寺さんの参道。とっても感じのよい住職さんは練習の件について快くOKしてくださいました。
お寺には保育園が隣接しており、ちょうど年長クラスで卒園記念撮影があっていました。里子はさっそく子どもたちに囲まれます。子どもたちにとって卒園へのささやかなプレゼントになったのであれば嬉しいですが・・・
そして、いざ階段練習・・。ところが・・・!
階段を前にして、里子の足がピタリと止まりました。盛んにくちびるを振って「嫌だ」の合図をします。
まさか!の展開です。ともかく霜川君は焦らず時間をかけ、バナナのおやつをやったりして里子のタイミングを計ります。そしてやや強い霜川君の「よし、行こう!」の掛け声に応え、里子は初めて階段を登りました。
一時は私の頭の中で「どう、イベントの中止を言い出そうか・・・」という不安が渦巻いたのですが、実際に対州馬が階段を登るところを見るというのは、なかなか感動的なものです!
さすがは「対州馬の血」です。がんばったね、里子。
足元の見えない馬にとって段差を上り下りすることは、大変こわいことなんですね。里子の表情にもこわがっていることがわかるかと思います。それでも頑張ってついていく、ということはやはり霜川君と里子の信頼関係なんでしょうね。
反復練習を終え、お寺へ・・・。やはり対州馬はこういう段々畑や子どもたちと一緒という光景が似合います。
お昼寝から起きた小さい組の子どもたちと触れ合ってから、帰りました。
明後日はがんばろうね、里子!
2012年3月10日 長崎市伊良林地区。心配された天気も予想を覆し快晴。スタート地点の若宮神社一の鳥居付近には沢山の報道陣やサポートメンバーが待っていてくれました。
途中の日見トンネルでは首を振ってストレス状態を示していた里子。長旅、慣れない場所、石段、荷物、多くの人・・・
霜川君はじめメンバーは、「出だし」のタイミングに神経を集中させます・・・
向けられた何台ものカメラ。プレッシャー。
対馬・目保呂ダム馬事公園から応援に駆けつけてくれた対州馬トレーナーの篠原さんの存在は里子にとって大変大きかったようです。
「落ち着いていこうね・・・」
霜川君の「じゃ行きます!」の声でいよいよチャレンジのスタート。
さすがは里子、出発前はやや不安な素振りもみせていましたが、歩き出すとどんどん目の前の階段を登っていきます。成功です!
神社の参道を力強く登っていく里子。沿道で出くわした方も、懐かしい姿に驚かれているようです。前を歩いているのは、今回スタッフとして本配りの仕事をしてくれた「長崎ポニーランド」の瀬川トレーナーと同施設のスタッフ君です。この日は、人も馬も汗して坂道を上がりました!
今回の荷物は約35kgくらい。本当はもっと重いものを運べるのですが、麻袋の方がそれ以上の重量に耐えられない恐れがありました。
これからいよいよコース最大の難関である急階段。ここは段の幅も狭く急すぎるので、迂回する予定でしたが、里子の調子を見て、ここもトライすることに!
画像はありませんが、見事里子は荷物を振り落としながらも、難所を登りきりました!
そして若宮神社では保育園の子どもたちが待っていてくれました。境内からみんなで叫んでくれた「サトコちゃ~~ん!」の声、忘れられません。
若宮神社の境内で子どもたちを乗せる里子。ここは「竹ん芸」が行われる場所としても有名です。歴史も古く、坂本龍馬や海援隊士もここに参拝したことでしょう。
出発前に記念撮影。・・・楽しかったね!ずっと里子のこと、覚えていてくれるかな?
ずっと張り付き取材をしてくれていた「あっぷる」のディレクターさん。練習を見ているだけに一緒に心配をしてくれていたのですが、予想以上の里子のがんばりを共によろこんでくれました。
新聞記者さんもテレビの記者さんも、多くの人が里子の労をねぎらい、かわいがってくれました。やはりこういうところは、馬ならではの魅力なんですね!
レジャーや競技の馬ではなく、荷役の馬として人とともに汗して坂道を登った、ということが長崎の人々にとって大きかったのだということを実感しました。
ゴールの風頭山を目指して出発です。
亀山社中前で。対面に見えるのは諏訪神社と立山の街。こうして見ると、住宅や墓地などがたくさんあって、かつては馬たちが人とともにこういった坂の街を少しずつつくっていったのだなぁ・・としみじみ思います。
亀山社中前で。
荷物が鞍の上で安定せず、沿道の壁にもあたるので、いったん荷を降ろして風頭山を目指します。荷を降ろした里子は、それこそ「身も軽く」という状態で、人の方がついていくのがやっと!という状態でした。
だんだんと馬が階段を登る風景が「当たり前」のように見えてくるから、不思議です。
そして、遂にゴールの龍馬像前へ到着!
抜けるような青空の中、龍馬さんは待っていてくれました・・・
そしてこの長崎の景色!
「サトコ、すごいよ!」と言った篠原さんの言葉が印象的でした。そして涼しい風とこの景観は何よりのご褒美でありました。
龍馬はん、里子は頑張りましたばい!褒めてやってつかぁさい。
このふたりの表情が全てを物語っていますね。
メンバーみんなにとって絶対に忘れられない日となりました。里子にとってもそうでしょう・・・
(高橋幸秀さん撮影)
お疲れさん、里子。
そして今回お世話になった本当に沢山の方々に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
3月暮れからしばらく対馬に渡る里子、また長崎の坂道で皆さんと会える日を楽しみにしています。
「長崎の坂道で対州馬の荷運びを再現-園児たちとの交流も」(長崎経済新聞記事)
「対州馬が坂の町をパカパカ」(長崎新聞記事)
「対州馬の荷運び再現」(西日本新聞記事)
「対州馬の荷運び長崎で再現」(読売新聞記事)
「長崎対州馬応援団」(ブログ内リンク)
「対州馬」 記事一覧
ここ数日非常に天候が悪く、この日も小雨がぱらついてました。雨だと里子が足を滑らせ危険なので、イベントは中止せざるをえません。
練習の場としたのは、諫早市本野地区にある明教寺(みょうきょうじ)というお寺さんの参道。とっても感じのよい住職さんは練習の件について快くOKしてくださいました。
お寺には保育園が隣接しており、ちょうど年長クラスで卒園記念撮影があっていました。里子はさっそく子どもたちに囲まれます。子どもたちにとって卒園へのささやかなプレゼントになったのであれば嬉しいですが・・・
そして、いざ階段練習・・。ところが・・・!
階段を前にして、里子の足がピタリと止まりました。盛んにくちびるを振って「嫌だ」の合図をします。
まさか!の展開です。ともかく霜川君は焦らず時間をかけ、バナナのおやつをやったりして里子のタイミングを計ります。そしてやや強い霜川君の「よし、行こう!」の掛け声に応え、里子は初めて階段を登りました。
一時は私の頭の中で「どう、イベントの中止を言い出そうか・・・」という不安が渦巻いたのですが、実際に対州馬が階段を登るところを見るというのは、なかなか感動的なものです!
さすがは「対州馬の血」です。がんばったね、里子。
足元の見えない馬にとって段差を上り下りすることは、大変こわいことなんですね。里子の表情にもこわがっていることがわかるかと思います。それでも頑張ってついていく、ということはやはり霜川君と里子の信頼関係なんでしょうね。
反復練習を終え、お寺へ・・・。やはり対州馬はこういう段々畑や子どもたちと一緒という光景が似合います。
お昼寝から起きた小さい組の子どもたちと触れ合ってから、帰りました。
明後日はがんばろうね、里子!
2012年3月10日 長崎市伊良林地区。心配された天気も予想を覆し快晴。スタート地点の若宮神社一の鳥居付近には沢山の報道陣やサポートメンバーが待っていてくれました。
途中の日見トンネルでは首を振ってストレス状態を示していた里子。長旅、慣れない場所、石段、荷物、多くの人・・・
霜川君はじめメンバーは、「出だし」のタイミングに神経を集中させます・・・
向けられた何台ものカメラ。プレッシャー。
対馬・目保呂ダム馬事公園から応援に駆けつけてくれた対州馬トレーナーの篠原さんの存在は里子にとって大変大きかったようです。
「落ち着いていこうね・・・」
霜川君の「じゃ行きます!」の声でいよいよチャレンジのスタート。
さすがは里子、出発前はやや不安な素振りもみせていましたが、歩き出すとどんどん目の前の階段を登っていきます。成功です!
神社の参道を力強く登っていく里子。沿道で出くわした方も、懐かしい姿に驚かれているようです。前を歩いているのは、今回スタッフとして本配りの仕事をしてくれた「長崎ポニーランド」の瀬川トレーナーと同施設のスタッフ君です。この日は、人も馬も汗して坂道を上がりました!
今回の荷物は約35kgくらい。本当はもっと重いものを運べるのですが、麻袋の方がそれ以上の重量に耐えられない恐れがありました。
これからいよいよコース最大の難関である急階段。ここは段の幅も狭く急すぎるので、迂回する予定でしたが、里子の調子を見て、ここもトライすることに!
画像はありませんが、見事里子は荷物を振り落としながらも、難所を登りきりました!
そして若宮神社では保育園の子どもたちが待っていてくれました。境内からみんなで叫んでくれた「サトコちゃ~~ん!」の声、忘れられません。
若宮神社の境内で子どもたちを乗せる里子。ここは「竹ん芸」が行われる場所としても有名です。歴史も古く、坂本龍馬や海援隊士もここに参拝したことでしょう。
出発前に記念撮影。・・・楽しかったね!ずっと里子のこと、覚えていてくれるかな?
ずっと張り付き取材をしてくれていた「あっぷる」のディレクターさん。練習を見ているだけに一緒に心配をしてくれていたのですが、予想以上の里子のがんばりを共によろこんでくれました。
新聞記者さんもテレビの記者さんも、多くの人が里子の労をねぎらい、かわいがってくれました。やはりこういうところは、馬ならではの魅力なんですね!
レジャーや競技の馬ではなく、荷役の馬として人とともに汗して坂道を登った、ということが長崎の人々にとって大きかったのだということを実感しました。
ゴールの風頭山を目指して出発です。
亀山社中前で。対面に見えるのは諏訪神社と立山の街。こうして見ると、住宅や墓地などがたくさんあって、かつては馬たちが人とともにこういった坂の街を少しずつつくっていったのだなぁ・・としみじみ思います。
亀山社中前で。
荷物が鞍の上で安定せず、沿道の壁にもあたるので、いったん荷を降ろして風頭山を目指します。荷を降ろした里子は、それこそ「身も軽く」という状態で、人の方がついていくのがやっと!という状態でした。
だんだんと馬が階段を登る風景が「当たり前」のように見えてくるから、不思議です。
そして、遂にゴールの龍馬像前へ到着!
抜けるような青空の中、龍馬さんは待っていてくれました・・・
そしてこの長崎の景色!
「サトコ、すごいよ!」と言った篠原さんの言葉が印象的でした。そして涼しい風とこの景観は何よりのご褒美でありました。
龍馬はん、里子は頑張りましたばい!褒めてやってつかぁさい。
このふたりの表情が全てを物語っていますね。
メンバーみんなにとって絶対に忘れられない日となりました。里子にとってもそうでしょう・・・
(高橋幸秀さん撮影)
お疲れさん、里子。
そして今回お世話になった本当に沢山の方々に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
3月暮れからしばらく対馬に渡る里子、また長崎の坂道で皆さんと会える日を楽しみにしています。
「長崎の坂道で対州馬の荷運びを再現-園児たちとの交流も」(長崎経済新聞記事)
「対州馬が坂の町をパカパカ」(長崎新聞記事)
「対州馬の荷運び再現」(西日本新聞記事)
「対州馬の荷運び長崎で再現」(読売新聞記事)
「長崎対州馬応援団」(ブログ内リンク)
「対州馬」 記事一覧
対州馬の荷運びには、ぜひ見に行きたかったのですが、ブログにもアップしているように観光通で当方関係のイベントを開催していましたので、行くことができませんでした。
たくさんの写真をアップしていただいたので、それを見て対州馬に会ったような気になれました。
やはり、可愛いですね。