アトリエ隼 仕事日記

長崎の炭鉱・教会・対州馬などをご紹介しています。 多くの方が炭鉱時代の事を探しておられるますので、炭鉱記事へのコメントは、どうぞアドレスをお書き添えください。橋渡しいたします!

対州馬

対州馬の飼養と調教 10「 対州馬が飼養・調教する上で必要な資質とは何か 」 

対州馬に限らないことですが、馬は人の「人間性」を見抜くので、人として誠実に生きているという自負と自信は必要です。また馬を飼養するの上で調教も絶対的に必要です。そうでないと馬を安全に移動させたり健康に留意して世話をすること、つまり管理することができません。
調教する上で絶対的に求められるのが先に述べた誠実な人間性なのです。こればかりはたとえアラブの大富豪だろうが一国の大統領だろうが、よこしまな人間性であったならば、馬を一歩たりとも自分の望む方向に歩かせることすらできません。そもそも馬にとって、人間の肩書や財力などそんなことはどうでもいいことなのですから。
では、なぜ馬は人間性を見るのか?答えは身の安全がかかっているからです。馬という動物は群れで暮らす生き物なのですが、その群れには必ずアルファと呼ばれるリーダーが存在します。リーダーはいつ襲ってくるかもしれない肉食獣や天災から群れを守るために的確な判断をしなくてはなりません。だからこそ、群れはリーダーを信頼し、その指示(サイン)に従うのです。人が調教者となる場合、このリーダー役として信頼されなければどうしようもないのです。もしそういう心構えも自信もなく馬に近づいた場合、その内面は馬に瞬時に見抜かれてしまいます。それは呼吸の速さであったり、脈拍、かすかな腰の引け方などによります。だから、かならず馬に接する時には「私は、あなたのリーダーであり、パートナーなのだ」という意志を持って接しないといけないのです。また、楽しむことも重要です。いつも「調教してやる」という強迫観念のような気負いがあると、やはりまた馬にとって負のパワーが伝わってしまいます。つねに「君にまた会えてうれしい!」といった心の余裕と微笑みもまた必要なのです。もちろん馬の調教についての最低限の知識や理論武装もある程度必要です。しかし、馬は千差万別であるということを忘れてはなりません。例えば鞭などは要らないと感じたら、さっさと放り投げる直観力も必要です(実際のところ、対州馬の調教にはほぼ鞭は必要ないと言える。中には調教すらも要らないとさえいう者もいる)。
余談ですが、私は現在外国人の若者に語学を教えるという立場にあります。人に何か教育という行う際に「信頼」というものがベースとしてないと成り立たないと教えてくれたのも、この対州馬でした。

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対州馬の飼養と調教 9「 もし対州馬が何かに驚いて走り出した時、曳き手一人で抑える方法はあるか 」 

あります。でも、こればかりは、文面では伝えらません。また、これを体得しない限り、馬を曳いて柵外に出すことは辞めた方がいいです。対州馬の体重は300kg前後あり、大人の男3~4人をいとも簡単に引きずり回すパワーを持っています。それを体重50kg前後の人間が抑えるというのには、かなりのテクニックが必要です。もし、それができなかったら、誰かが大けがをしたり、大事故につながることも否定できないのです。

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対州馬の飼養と調教 8「 対州馬以外でも、市街地にある坂の小道を歩く荷運び馬になることができるか 」 

なれません。
まずサラブレッドなどの競走馬はフラットなコースを早く走る事だけに特化して改良されてきているので、200%できません。
あとの在来馬でもいけそうな感じですが、昔長崎の荷運び屋さんが、他の在来馬を連れてきて試したところまったく使えなかったそうです。(一概には言えませんが)
かつて実際に長崎市で荷運びをされてきた4氏に話を聞いたことがありますが、皆口をそろえて「対州馬が一番適する」と答えました。一番の理由は、その動じない性格らしいです。確かにあの狭い坂段を歩いていると路地から人が出て来たり、或いは犬が吠えてきたりということもあるでしょうから。臆病な性格の馬には最も適さない「職場」ということになるでしょう。それだけに坂の小径ばかりの長崎と炭鉱だらけだった長崎と対州馬というのは不思議な因果があるのです。

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対州馬の飼養と調教 7「 対州馬を調教する上で参考となる資料等はあるか 」 

ありません。そんなものはありません。
対州馬に限らず、馬の調教についての資料がない。と言うか、あったとしてもそれは極々一部にしかあてはまらない事しか書いてありません。そして、そのようなものに頼ろうとしない方が結局はいいのです。
しかし、対州馬が小~中型の馬と言っても体重は300kg前後あり、本気を出せば大人の男3~4人は簡単に引きずりまわす力を持っています。なんの理論もイメージも持たずに調教に挑むのは無謀以外のなにものでもありません。まずどんな馬にも当てはまることぐらいは、わかっていないと馬を修復不可能な状態にしてしまいます。一言でいうと調教者の体の向きと馬との距離は非常に大事で、それを抜きにしては調教はまず成り立ちません。
その辺りのことをうまく説明しているものとして私が一読を薦めるのはドイツ人クラウス・フェルディナンド・ヘンプフリンクの「 Dancing with Horses (邦題:馬と踊ろう)」です。
この書は馬の調教の書というよりも美しい文学としてそのまま読めます。「よし、馬と向き合おう。馬を飼おう」という勇気を起こさせてくれる名著なのです。
しかし残念ながらこの書は販売されていません。JRAが翻訳本を作ったのですが、販売せずに各都道府県の図書館にのみ配布しています。したがって、県立図書館に行けば借りることができると思いますが、どうしても読んでみたいと思う人は私が持っているファイルを分けることは可能です。(決して販売ではありません)
話は最初に戻ってしまいますが、そもそも「対州馬に調教は必要ない」という人もいます。まぁそういう人は、その馬が生まれて半年ぐらいから人に慣らされてきたのだということを恐らく知らないだけなのですが。


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中1の娘はなかなか苦労しているが、この時からわずか3か月前には曳かれるどころか、人が触れることすらできなかった。



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対州馬の飼養と調教 6「 対州馬の牡馬は荷運び馬や曳き馬等の役馬として適するか 」 

適します。ただし、条件はあります。1頭飼いをすることです。
牝馬と一緒、もしくは近くでの飼養だと役馬となることはできないでしょう。これは実際に長崎市内で荷運びを生業とされていた浦川さんもはっきりと述べられたことです。
(ちなみに去勢していないオス馬を牡馬(ぼば)、去勢したオス馬を騙馬(せんば)と言いいます)
中には牡馬、つまり去勢をしていない状態だと曳き馬や乗馬用馬としても使えないと考える人もいますが、そうではありません。あくまで条件次第なのです。人間の体もそうなのですが、それぞれの臓器は絶妙なバランスでもって成り立っています。生殖器を取ってしまうことは、もちろんその生体にとって大きな影響を及ぼします。十分な精査や準備が行われないまま簡単に去勢が行われるようなことはけっしてあってはなりません。
私個人としては生来、人が手を一切触れたことがなかった対州馬の牡馬を飼養し、独学で調教しました。かなり早い段階で信頼関係が築け、この牡馬に攻撃されることは生涯ただの一度もありませんでした。
私が半野生馬だった牡の対州馬を長崎市に連れてきて2年が経った頃、ある事情から放牧地を移動しなくてはならなくなりました。まだ歩行訓練も十分ではなかったのですが、馬運車に乗せて移動という、かなり難儀なスキルを短期間でマスターしなくてはならなくなりました。結果的に対州馬のポテンシャルの高さか、信頼関係が功を奏したかは定かでありませんが、移動は無事成功しました。事前に移動中馬が暴れるというリスクを想定して、誰か馬の扱いを知る者の助っ人を探しました。私の古い教師仲間の勤め先である学校に来ていたカナダ人のALTが、叔母が馬を飼育しているという話を聞き、そのカナダ人に頼むことにしました。しかし、そのカナダ人は事前のメールのやり取りの中で非常に愚かで馬鹿げたことを書いてきました。「去勢していないスタリオン(牡馬)は危険だから去勢した方がいい」と。おそらく彼の叔母さんの牧場では種馬以外の牡馬は乗馬などで使うためにさっさと去勢してしまうということなのでしょう。「そんなことで去勢するくらいなら、わざわざ牡馬の対州馬を飼ったりしない」と返したかったのですが、馬鹿馬鹿しいので彼とのやり取り自体をやめました。
はたして、私の馬はさしたる問題もなく軽トラックを改造した馬運車(実際に荷運び屋さんがつかっていたもの)に乗り、すんなりと次の放牧地まで移動ました。「馬を扱える、知る」と豪語?する人の中にはこのカナダ人と同じようなレベルの人が残念ながらかなり多く存在しています。そういう言葉にまず惑わされないことがとても重要なのです。

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対州馬の飼養と調教 5「 どのような場所で馬の飼養が可能か 」

馬を飼養する目的により異なるので一概には言えませんが、最悪な飼い方だけは示すことができます。
「馬房に繋ぎっぱなし」の飼い方だ。馬に限らず何の生き物でも当たり前のことだが、身動きの取れない場所にずっと閉じ込められていたら、その肉体的、精神的な苦痛は想像に難くないだろう。
馬という動物は基本自分のテリトリーから出ない習性を持っているが、だからと言って狭い馬房に入れっぱなしでよいということではない。犬のように散歩や運動をさせることが容易でないがゆえにほぼ馬房に入れっぱなしという馬たちも残念ながら相当数居ると言わざるを得ない。本来草原を駆け回る動物を人間のエゴで狭い場所に長く閉じ込めておくことは虐待と指摘されても致し方ないだろう。
しかし、一方でただ広さのある場所で放し飼いに近い状態にしておくと、人が制御できない馬になってしまう。
それではどういう場所でならば、適切な飼養ができるか。これについては、対州馬の産地県である長崎を基本として項目に分けて述べたい。
①少なくとも100 ~ 120坪くらいの広さがあること。
・この場所に資材を横づけしたり、馬を運動させることのできる道路があるべきである。
②その場所に適度な日陰があること。
・馬は寒さには強く、暑さには弱い。夏場に日陰が無い場所。あっても高温にある厩舎内にいなけらばならないとしたら、それは拷問に近い虐待となる。それどころか、熱中症などによる死亡リスクも非常に高くなる。できれば、いずれの時間帯にも木陰となる場所があることが望ましい。
③土の質が粘土質でないこと。
・土が粘土質であると、馬の体重で土中に蹄が沈み、従って蹄の状態が非常に悪くなる。これにより体のバランスが崩れ、健康のバランスも悪くなる。蹄の伸びも早くなり、手入れも難しくなる。また、粘土質の土地は吸水性が極端に悪くなり、降雨後はいつまでも水が溜まる。水が溜まるとサシバエ等の害虫も発生しやすい。百害あって一利なしである。
④適度な斜面があること。
山羊ほどではないが、対州馬はかなりな斜面も登る能力がある。この点は競走馬などとは大きく異なる点である。適度な斜面を上り下りすることで脚力もつき、気晴らしにもなる。
⑤ぼろ(馬糞)を捨てる場所が近くにあること。
・厳密に言うと、乗馬クラブや競走馬飼育など生業として馬を飼育する場合は馬糞は産業廃棄物となり、しかるべき処理を行わなければならない。しかし、実際にどこへ持って行ってどう処分するかについて、規則で細かく決まっているわけではない。ここでは、保存を目的とした対州馬の少数飼育についてのみ言及する。
まず馬糞についてだが、草食動物のそれであるので、匂いはほぼ無い。草食動物の糞が強く匂いを放つ者であれば、天敵であり嗅覚の発達した狼などに存在を自ら知らしめてしまうからだ。かと言って、放牧地内に放置していれば、それなにり匂いを発生させるし、土質を悪化させるし、害虫の孵化を促進させてしまう。したがって、毎回の餌やりの時に処理しないといけない。第一、訪問者や近隣の者に対しても不快な思いをさせてしまうことになる。処理方法として一番いいのは、穴を掘って埋めることなのだろうが、その量は膨大なものになるので、そこまでの土地を確保することは困難だろう。またリサイクルと言って堆肥にする場合もあろうが、堆肥化するのは発酵させねばならず、この発酵によって、強烈な匂いを発生させてしまう。また害虫の温床をつくってしまうことになる。よりベターな方法としては、雑木林などの場所に撒いて捨てることだろう。馬糞はすぐに微生物や昆虫によって分解され、よい土の原料となる。匂いもださない。したがって、放牧地を探す場所はこの馬糞を捨てられる場所が近くにあるか否かが重要となる。
⑥水道と電気がひける場所であること。
・毎日数回に及ぶ馬の世話を考えた時に、水道と電気、特に水道(井戸)の無い場所では飼育は無理と考えた方がよい。
⑦民家とある程度離れていること。
・昭和の時代にはそれ程問題にならかなかったと思うが、この時代馬を身近に見れる環境はほとんどなく、馬という動物はほぼ「見慣れない大型動物」である。従って一般住民にとっては馬の存在は不安なものであるということを十分理解すべきである。「匂いや虫がでるんぼではないか?」「鳴き声がうるさくて生活に悪影響を及ぼすのではないか?」「脱走したりして子どもに危険をおよぼすのではないか?」といった不安を抱かせてしまうのは、しょうがないことなのである。実際には正しく飼養すれば、このような弊害は皆無なのだが、それは実際に証明できるまで待たなくてはならない。あくまで理屈ではないのである。ちなみにうちの馬の場合、最も近い民家から15~20mぐらいの距離であった。しかし、幸い、その間に小さな河川があったため、容易に人が行き来できる場所でなかったこととある程度視界を遮断する林が存在したことが幸いだった。遂に一度の苦情もなかった。いあや、それでころか、近所の小学生達や孫を連れたお年寄りの方が懐かしいからと訪ねてきてくれることもけっこうあった。
⑧その他
・台風接近時のために、暴風林となる木々が生えているとか、水はけがいいとか、細かく言及するときりがないのでひとまずここまでとする。

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対州馬の飼養と調教 4「 馬を飼うのに届けは必要か 」

必要です。大型動物なので。
たまに体の小さなポニーやミニチュア・ホースは届けが必要でないと思っている人がいるようですが、そうではありません。馬は馬なので、やはり所属している行政への届け出、登録が必要となります。
私の場合は、①長崎市環境課(正確な課名は忘れたが、馬の排せつ物が場合によっては産業廃棄物扱いとなるため、環境を司る行政課への確認が必要)と長崎県の②家畜保健所への登録を行いました。
①は、()書きの通り、馬の飼育が生業とするものか、或いはペットとして飼育するかによって排せつ物の扱いが変わってきます。要は前者の場合、産廃で、後者の場合はそうではありません。
また飼育する場所が建築法によって厩舎の建てられる場所か否かによっても、許可の有無に影響します。
私の場合は放牧飼育による飼育で、厩舎は無く(法律上建てられない)雨避けのテントがあるという設定・説明で許可をもらいました。
建築法で言う「建物」とは、柱が立っていて屋根があれば、十分建物になるのですが、私は単管パイプにトラックシートを被せているからテントという扱いで許可をもらいました。
もし厩舎を建てるとしたら、或いは生業として馬を飼うとしたら、浄化槽などの設置義務などが生じてくることになるので、まず事前によく法律を確認しておくことが必要です。
また②については、やはり伝染病被害のこともあるので、かならず登録しなければなりません。けっこう無登録・未許可で馬を飼う人もいるようですが、そういう人が馬を飼養することは馬にとっても社会にとっても大変な迷惑としか言えません。
長崎の場合は年に1回の書類提出で済みます。


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対州馬の飼養と調教 3「 馬を飼うとは、どういうものか 」

一言で言って、よろこびです。それ以外はありません。
馬を好きな者にとって毎日、馬と会えることはただ喜びであり、それ以外は無いのです。
以前、長崎市で馬搬を生業としていた方に頻繁に会っていたことがありました。その方は馬搬をやめた後、馬をどこかの乗馬クラブに譲ったらしいのです。そして私にこう述べました。「もう馬は見たくない」と。馬と関わった年数や内容は関係ありません。その方は生業として馬搬を親から受け継いだだけであって、馬のことが元から好きではなかったというだけのことなのです。
よく訪問者から「(馬を飼うのは)大変でしょう?」と言われました。「いや、馬が好きな者は、馬と居たいのだから、大変じゃない」と答えると必ず期待が外れたような顔をされます。おそらくそのすれ違いは永遠に解消されないでしょう。
しかし馬を飼養する者の中には非情な者もいて、必要がなくなると、と殺場に送る者も少なくありません。しかしこの問題については牛との兼ね合いもあるし、論点がそれてしまう恐れがあるので、ここでは述べないことにします。
今回馬を飼養した期間は概ね3年半でした。朝夕必ず餌をやり手入れや世話をするので、ざっと1,200回以上馬と顔を合わせ、触れてきたことになります。もちろん元旦もクリスマスも嵐の日も大雪の日もです。
最初の2年間は片道25分くらいかかる山中で飼養していたので、往復に1時間。世話に朝20分、夕方1時間をかけるので、1日24時間のうち3時間から3時間半を馬と過ごしたことになります。では、その最初の2年間は大変だったかと言うと、正直大変だったという記憶はありません。むしろ遠くにいる分、あまり相手にしてやれなくて寂しい思いをさせたなと申し訳なく思います。帰省などでやむを得ない時は友人や馬好きの知り合いに頼んだのですが、それはほんの数日でした。こうして数字で表してみると結構なものだと思うのですが、なぜ大変だったという思いが無いかは、実のところ自分でもよくわかりません。ただ馬が好きだったから、馬と居る時間も大好きで、むしろ自分の24時間の中でその馬といる時間はとても大切なものだっとしか言いようがないのです。特に日本語学校の校長として勤務していた時期は、大変にストレスがたまった(生徒ではなく、職員のおかげで)ので、静かに餌を食べているのを黙ってみている時間は、そのストレスを沈めてくれる本当にありがたい時間でした。うそだと思うのであれば、ぜひ馬を飼ってみてほしいのです。ただし、本当に馬を好きでないのならばやめた方がいいでしょう。
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対州馬の飼養と調教 2「 疝痛(せんつう) 」

「 疝痛(せんつう) 」

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「疝痛」。・・・馬を飼養するものにとって、この言葉ほど恐ろしいものはない。
現に私の大切な馬も、これによって「ある日突然」命を奪われてしまったのです。
正直に言うと、この記事を書くことですら非常に苦痛をいます。
馬を所有するということは、所有する喜びのすぐ裏側で、常にこの疝痛という恐怖と向き合っていくことになるのです。
そして、旅行に行く朝や大事な行事のある朝も、この疝痛という恐れを何日も前から保持することになります。これは、個人で飼養する以上、最も苦痛なことです。よく他人から「馬を飼うのは、大変でしょう?」と言われることがあります。その言葉はまったく持って余計な言葉で面倒くさい言葉なのですが、一応邪険にするのもなんなので、「いや、馬が好きだから毎日馬と関われる時間は楽しいのだ。馬好きとはそういうものなのだ」と返します。
実際、馬が寄ってくる表情を見たり、餌を食べている姿を見るのは一般の人にはわからないと思いますが、至福の時なのです。つまり私は馬のおかげで毎日至福の時をもらっていたのです。だから馬の世話をする時間が一日の中から無くなってしまった時は、楽などではなく、とても辛い時間帯になってしまいました。一日全体が空虚なものになってしまっていたのです。
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対州馬の飼養と調教 1

超絶滅危惧種である対州馬の保存と繁栄を願い記事を作成・投稿します。記事内で使用する画像はほとんどがオリジナルですが、馬のことを広く知って頂くために敢えてキャプチャーの画像も含まれることをあらかじめお断りしておきます。

序章

日本在来馬8種の1種で対馬原産の対州馬は、2019年8月現在、すでに「絶滅中」とでも形容できるような状態にある。これには種々の理由が存在するが、非常に混み入ってしまうので、この場では割愛します。
馬についての説明は非常に退屈なものであるし、他にも多く述べられてるので、初めにいかにして私が対州馬を飼いたいと思い、それを実践していったかをなるべく時系列に沿って述べていきたいと思います。

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「なぜ 対州馬を飼いたいと思うようになったか」

1963年(昭和38年)に長崎市で出生し生まれ育った私なのですが、対州馬に興味を持ったのは恐ろしく後にあってからのことです。
いや、正確に言うと「馬」そのものに特に興味もなく、「対州馬が好きになったから、馬を好きになった」という言い方が当てはまるのだと思います。
だから、多くの乗馬をされる方、馬好きな方とは最終的な価値基準は一致することが多いのですが、多少の違和感はどうしてもぬぐい切れない場合もあります。「競馬ファン」と自他ともに認める方々とは根本的な馬に対する価値観が違うと言っても言い過ぎではないでしょう。
私の場合、ベースにあるのは『 郷土長崎の戦後復興の一役を担った不思議な因縁のある馬 』というものなのです。

対州馬との運命的な出会いは、仕事がきっかけで訪れた大村市のとあるカフェでした。
そこにいた牝の対州馬は馬というより、むしろ犬に近いような感じでした。
それまで目にしてきた馬というのは、近寄っていっても、そのまま草をはんでいるか、何も反応しないというイメージの存在でした。
しかしその馬は明らかにこちらに興味を持ち、ずっとこちらを伺いながらもじもじしていました。しばらくして馬の名前を呼んでみると、もじもじしながらも少しずつ近寄ってきました。そしてその後はべったりと甘えてきて私の洋服をはぐはぐしたり、といった感じでした。私はすっかりその愛らしさにやられてしまいました。こうして、私と対州馬との決定的な「縁」が出来上がりました。
『 対州馬は長崎市に気の遠くなるほど存在する坂段や狭いスロープを荷物を背負って働いていた馬 』。
そこから私の対州馬に対する熱烈な思いはつのる一方で、ついには飼養することになりました。

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プロフィール:江島 達也
 長崎市泉町生まれ。 私の「故郷」は戦後間もない頃造られた、お風呂もないアパートで棟の名が「隼(はやぶさ)」。それが絵師としての屋号です。群馬大学教育学部美術科卒。 大学の4年間、実にボンクラな学生でしたが、4年目は仲間と自主ゼミを立ち上げJ・デューイやM・モンテッソーリなどの教育学を学びました。この頃、前橋市内にあったフリースクール(オルタナーティブ・スクール)をつくる会などに参加しまして、この時期の様々な社会人との出会いが、その後大きな影響となりました。
包装機械メーカーの東京営業所に入社、8ヵ月後退社。平成2年より長崎県教員として県内各校に勤務しました。 平成17年末退職後、フリーのイラストレーターとして活動開始。
平成23年3月 「僕の子ども絵日記~ながさきの四季」(長崎新聞社)出版 
平成24年 「長崎の坂道で対州馬の荷運び再現」プロジェクト。25年 再び長崎市で対州馬による荷運び業再開を目指し「對州屋」として活動開始。29年 あさひ日本語学校・校長職を兼任。
〒852-8065
長崎市横尾町
tek/fax095-857-5236


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馬運・馬搬・作業萬ず/
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