本来、調教とは「人間にとって都合のいい動作をさせること」であって、馬にとってのそれではありません。
その最も酷いエゴが戦争に使用したり、炭鉱の坑道内で使用したことでしょう。
馬にとって人を乗せたり、荷物を運んだり、或いは農機具を曳くことも馬の本意とは言えず、人の都合によるものです。人の望む要求に対して少しでもできた場面に接した時には、すかさず褒める(OK、それでいいと伝える)言葉をかけなければなりません。馬は言葉の内容は理解しませんが、OKの時の言葉とNo goodの言葉は決めておき、褒める時は穏やかなトーンで、No goodの言葉は大きく早く掛けます。しかし、調教においてもうひとつ重要なファクターがあります。それは人間の教育にも共通することですが、「やれば、後でいいことが待っている」ということです。特に動物にとって、その動作をすれば、後で食べ物をもらえるということは、とても効果が高いということは理解してもらえるでしょう。私は、まず朝夕の餌やりの時にも必ず最初に1/4欠片ののリンゴを与えます。それは人間がやってきて、それから行うことは餌をもらえる、良いことにつながるとイメージ付けるためです。
まったく人間が触れたことの無かったひん太にまず、無口頭絡をつけ、引き綱を付けて歩かせ、そして停める。その次は「はみ(ビット)」を口に含ませるのですが、特にこの「はみ」に慣れさせる段階で食欲を利用します。まず最初の段階は柔らかな素材でできた「はみ」を口の中に入れさせるのですが、これにはあらかじめリンゴの匂いのついたもの(ドイツ製)を使いました。この素材には馬の好みリンゴのフレーバーがついているので、馬は口の中でゴリゴリとかじっています。十分に慣れてから今度は実際の金属製のはみにリンゴ・ジャムを塗り、口の中に咥えさせます。こうして自然とはみを受け入れるようになり、やがてははみにつけた曳き手で「進む」「止まる」の意志を伝えられるようになります。馬の場合、イルカのようにしょっちゅう動作のたびに餌を与えることはしませんが、すべてが終わった後には餌を与えて締めくくるべきです。
こうして、馬は調教(仕事)を受け入れていくようになります。基本は「人も馬も楽しみながら、徐々に進歩していく」ということです。

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