これは調教において最も重要なファクターの1つであり、これがいわゆる「馬語」と言ってもよいものである。
「そんなものは、どうでもよい。とにかく気合で馬を動かす」等と言うものは、根本的に馬という動物をしらない者である。このことは「馬と踊ろう」のクラウス・フェルジナンドやモンティ・ロバーツも著書の中で繰り返し述べている。特に馬に対する向きと位置関係は極めて重要である。馬は群れ社会で行動する動物であり、群れを統率するリーダー(アルファ)は、その向きと距離で群れへの支持を与えている。馬を調教する者もこのリーダーでなければならず、従ってその向きと位置関係は重要な意味を持つことになる。ざっくりと言えば正対すれば、それは「待て」「動くな」という意味であり、反対に背を向ければ「これから移動するので、ついて来い」という意味になる。そのことを理解した上で曳き馬なども行わないと馬との主従関係を築くことができず従って調教もできない。真横や斜め前、後ろにも意味があり、その辺りの説明は難しいので省くことにする。前述の著書を読んでみれば詳しく述べてあるので一読を薦める。

そして。動作もまた重要な意味を持つ。手を挙げる、馬の顔の前に出せば「ちょっと待て」「おいおい!」という意味になる。どうしても注意を引かないといけない緊急時には大きな手足の動きを伴った全身運動でそれを伝える。この原理は考えてみれば、人に対する場合と同じことだが。
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