よろこびである。それ以外はない。
馬を好きな者にとって毎日馬と会えることはただ喜びであり、それ以外はないのである。
以前、長崎市で馬搬を生業としていた方に頻繁に会っていたことがある。その方は馬搬をやめた後、馬をどこかの乗馬クラブに譲ったらしい。そして私にこう述べた。「もう馬は見たくない」と。馬と関わった年数や内容は関係ない。その方は生業として馬搬を親から受け継いだだけであって、馬のことが元から好きではなかったということである。
よく訪問者から「(馬を飼うのは)大変でしょう?」と言われる。「いや、馬が好きな者は、馬と居たいのだから、大変じゃない」と答えると必ず期待が外れたような顔をされる。おそらくそのすれ違いは永遠に解消されないだろう。
しかし馬を飼養する者の中には非情な者もいて、必要がなくなると、と殺場に送る者もいる。しかしこの問題については牛との兼ね合いもあるし、論点がそれてしまう恐れがあるので、ここでは述べない。
今回馬を飼養した期間は概ね3年半。朝夕必ず餌をやり手入れや世話をするので、ざっと1,200回以上馬と顔を合わせ、触れてきたことになる。もちろん元旦もクリスマスも嵐の日も大雪の日もだ。
最初の2年間は片道25分くらいかかる山中で飼養していたので、往復に1時間。世話に朝20分、夕方1時間をかけるので、1日24時間のうち3時間から3時間半を馬と過ごしたことになる。では、その最初の2年間は大変だったかと言うと、正直大変だったという記憶はない。むしろ遠くにいる分、あまり相手にしてやれなくて寂しい思いをさせたなと申し訳なく思う。帰省などでやむを得ない時は友人や馬好きの知り合いに頼んだが、それはほんの数日である。こうして数字で表してみると結構なものだと思うが、なぜ大変だったという思いが無いかは、実のところ自分でもよくわからない。ただ馬が好きだったから、馬と居る時間も大好きで、むしろ自分の24時間の中でその馬といる時間はとても大切なものだっとしか言いようがないのである。特に日本語学校の校長として勤務していた時期は、大変にストレスがたまった(生徒ではなく、職員で)ので、静かに餌を食べているのを黙ってみている時間は、そのストレスを沈めてくれる本当にありがたい時間だった。うそだと思うのであれば、ぜひ馬を飼ってみてほしい。ただし、本当に馬を好きでないのならばやめた方がいい。
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