2016年現在、長崎市でただ一頭の対州馬、ひん太。但し、「血統書」などは一切ありません。しかし、長年にわたり対州馬を調査・研究しているグループの一人である方から200%?対州馬であると証明していただいている馬です。
そもそも、書類が有るとか無いとか、人の間で言い争っている内にも、「対州馬絶滅」の危機は一歩、また一歩と迫ってきています。そんな論争を長年続けることに、はたして意味があるでしょうか?
もし「対州馬」と呼ぶことに差し支えがあるのなら、「長崎の坂道の荷運び馬」という呼称でも構いはしません。
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昭和の時代には、車の入らない坂の小径ばかりの長崎市で、最大200㎏もの資材を担いで登っていた荷運び馬の中心的存在であった対州馬。しかし、馬方さんの高齢化やモータリゼーションの影響から、馬方さんも2009年に最後の1業者さんが廃業。対州馬も活用の方向性を失い、現在は絶滅寸前という状況にまで追い込まれてしまっています・・・。(画像はかつて馬搬の仕事をされていた方の写真を撮らせて頂いたものです)
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対州馬との出会いは、いつだったでしょうか?もちろん長崎市民として、坂道を荷物を背負って歩く馬たちのことは以前から知っていました。しかし、正直なところ、さして興味もありませんでした。
しかし、ある場所で出会った一頭の対州馬、もうおばあちゃんの馬でしたが、この馬にたちまち惹き込まれてしまいました。
最初は名前を呼んでも、モジモジしていたのですが、だんだん近寄ってきて、最後にはまるで犬のように甘えてきたのです。 (画像は、その後の荷運び馬再現イベントの時のもの)
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この見た目も愛らしく、性格も人懐こい在来馬(日本の在来馬8種の中の1種)は、長崎市という街づくりに貢献したばかりでなく、昭和初期までは、世界遺産となった軍艦島の炭鉱など、北九州に多く存在した炭鉱の坑道内で炭車を曳いて産業を助けました。
「世界新三大夜景」の1つとなった長崎市の夜景と世界遺産「明治日本の産業革命遺産」は、対州馬などの在来馬たちのおかげ、と言っても言い過ぎではなかろうと思います。
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(画像は、許可を得て上陸した時に自分で撮影したものです)

その健気な馬、特に対州馬たちこそ、貴重な「遺産」だと思うのですが、「活用の場がない」「徐々に数を減らし、絶滅まで崖っぷち」・・・等という言葉を聞くにつけ、心を痛めていました。
馬たちの仕事が車や機械・コンピューターにとって代わられ、街が活気づいているのならともかく、馬のいなくなった「坂の街」からは人々も徐々にいなくなり、活気を失うなどという段階にとどまらず、長崎市は将来消滅する可能性の極めて高い自治体というニュースまで聞かれるようになってしまいました・・・。
長崎に帰省する知人の、『 帰ってくるたびに、懐かしい風景が無くなっている 』という言葉には、大変な危機感を覚えるようになりました。

ところで、年に1度くらいは関東に帰省する際、東京近辺の娯楽施設を訪れる機会があります。犬や猫などと触れ合うことのできる場所やサファリや水族館の海獣たちはどこへ行っても人気があり、多くの人を惹きつけています。いくらIT社会になっても、動物が持つ魅力は色あせないのだと思います。
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さて、ではどうやって激減している対州馬を実際につれてくるか?・・・これはかなり紆余曲折ありました。詳しく書くと、おそらく読むのに自分でもうんざりするほどの長さになってしまうと思うので、割愛することにします。

かくして2016年3月15日に、長崎市に対州馬が、かなり久しぶりにやってくることとなりました。
名前は「ひん太」といいます。ふざけているわけではありません。保育園児などの幼い子どもたちが「馬の(が)、ヒヒ~ンて(と)鳴くけん(から)、ひん太くんバイ!」という風に覚えてもらう存在になって欲しいという思いから付けた名前です。
画像は、移送の際大変お世話になった、馬についてのスペシャリストの方々です。この方々がいなければ、ひん太が長崎市に来ることはまず不可能でした!)
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今まで殆ど人が触れたことがなかった、ひん太。まるで熊のようです。
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しかし、ドッグ・トレーナーの仕事に興味を持っている中学生の娘が、ひん太に興味を持ち、世話をよく手伝ってくれました。私自身にとっては、娘の存在と働きがかなり大きなものとなりました。
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結果、ひん太の容姿、表情も徐々に変わっていきました。
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自分自身にとってももそうですが、こうやって馬に実際に触れて関わっているという経験が娘にとって大きなものであって欲しいと思います。
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荷運び馬となれるのかどうか、そこにたどり着けるとしても、それはまだまだ先のことです。
でも、多くの方、子ども達が、ひん太と触れ合うことによって、少しでも元気な笑顔になってくれる将来を夢見てやみません。そして、この馬が「長崎のひん太」として誰もが知るような存在になることを。
またそれが、街の魅力に華を添えたり、対州馬の保護・育成に一役買えれば、それは幸せなことです。

長崎市近郊で、この活動に賛同していただける方で、たまに餌やりなどの活動を手伝って頂ける方を探しています。数ヶ月に一度くらいのお手伝いでも構いません。ぜひご連絡をお待ちしています。

対州屋 江島 達也

095-857-5236 

ejima@hayabusa-studio.com

長崎市横尾3丁目22-3

活動プラン
対州馬ビジネス活用プラン