2015年、よく晴れた秋晴れの日に、年度末に他校と統合のため閉校となる南島原市立山口小学校(南島原市加津佐町戊1208番地)を訪問しました。
加津佐町より山手にしばらく走ると山口小学校の敷地が見えてきます。
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初めて目にした山口小学校は・・・。
恥ずかしながら、このような「映画の中にしか出てこないような」木造校舎の小学校が長崎にあったとは、知りませんでした。
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(各画像はクリックで大きなサイズになります。必要な方はご自由にダウンロードしてください)

なんとも、かわいらしい木造校舎です。
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絶妙な色合いで塗られた校舎が、秋晴れの空に実によく映えています。
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よく刈り込まれた樹木ときれいな花々。(体育館側)
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(グラウンド側)
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お馴染みの二宮尊徳(金治郎)像も、この校舎にはよく似合っています。
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しかし、グラウンドに残る、「ありがとう さようなら 山口小」の文字の跡が、迫る閉校の日の寂しさを予感させます。
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校門前には閉校式までの日数を伝える看板と「ありがとう、さよなら山口小」の文字が。
この学校は最後まで、明るく爽やかに惜別と感謝の辞を発信しています。
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看板下の掲示板には、最後の運動会への協力のお礼と、次の行事であるマラソン大会への抱負が地域に向けて、語られていました。
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拙著を献本する為に校長先生とお会いし、学校の敷地内を撮らせていただけることになりました。
しかし、実はこの日は午後から教育委員会の学校訪問を控えている、まさにその日でした。
元教師だから、わかることですが、教育委員会訪問の日は、最も忙しい日のひとつです。ゆえに非常に恐縮したのですが、校長先生は、「そんなに焦らないで、ゆっくりいいですよ」と言ってくださり、おまけに少し案内さえして頂きました。本当に感謝です。
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それにしても、内部も味がありますね。廊下と教室の境の窓は昔のままの木製の窓枠のままです。(ちょうど、学校訪問の為に教室案内の紙が貼ってあるので、そこが何の教室であるかが、わかりました)
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この上がり框は、おそらく57年前のものでしょうね。
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校舎の玄関を外から見たところです。ここにも児童の手作りと思われる案内看板が掛けてあります。「学校」という威圧感のない、素晴らしいエントランスですね。
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きれいな花のポットを乗せている木製の台もまた、児童のお手製です。よくできています。
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玄関の内側にも「さようなら」の文字と閉校式までの日数を示す掲示がありました。毎夕、生徒達や職員さん達は、この数字がだんだん減っていくのを見ながら帰ってゆくわけですね。この数字がひと桁になった頃、どういう思いでここを通られるのでしょうか?
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しかし、子ども達の心には、惜別と同時に、未来への前向きな期待もまたあることでしょう。それこそが、子どもの子どもたる「良さ」ですから。
この日も午後からの学校訪問に向けて、発表の準備等をがんばっていました。
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その「子ども達が活動している」音です。


山口小学校の歴史は南島原市のHPから知ることができます。
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『 明治7年11月 下等山口小学校と称して創立された山口小学校は、今年度末(H26.3.31)をもって、加津佐東小学校、津波見小学校と統合され、139年の歴史に幕を閉じます。
 この間、記録に残るものとして、山口尋常小学校778名(明治35年~昭和16年3月)山口国民学校130名(昭和16年4月~昭和22年3月)山口小学校881名(昭和22年4月~平成26年3月)の卒業生を送り出しました。(※今年度卒業予定者を含む)
 現在の校舎は、地域の方々の労働奉仕により造られた築57年になる木造校舎です。 』

校内には、この地区に学校が造られた時から、現在に至るまでの実に多くの写真や資料が展示されています。いかにこの学校が地域の人たちの「中心」にあったか、がうかがえます。
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改築記念碑の除幕式の写真。「築57年の現校舎」とありますから、この写真は昭和30年頃のものでしょうか。
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その現校舎の「瓦ふせ」の写真です。
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この写真は、校舎の東側に現在も残っている石垣工事の写真でしょう。校長先生のお話では校地を造成した時に大量の石が出て、その石で石垣を築いた、ということでした。
当然ですが、重機もない時代に地域の人々が力を合わせて手作業で「学校」という礎を拓いたのだということが、この一枚の写真からよく伝わってきます。
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その石垣ですね。確かに石切り場から切り出したものではなく、土中から出たものを割って組んだものであることがわかります。
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ところどころには、石を割ったときの穴が残っています。
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男性も女性も作業できる人が土を掘り、トロッコを押す。この先の時代、こんな風にして学校を、いや地域の為になる何かを造ることがあるのでしょうか・・・・。
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また、この額からは学校の様々な備品や道具を買うために、多くの方が寄付をしていることがわかります。こういった篤志を、「頂いて終わり」でなく、きちんと記録として残していることも素晴らしいですね。
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また校内には、卒業制作もところ狭しと飾ってあります。少人数の学校ですが、その年に卒業していったひとりひとりが、いかに大きな存在であったかが、こうした卒業制作からも伝わってきます。
haha

この小さな学校から巣立った子どもたちは、この作品のように本当に世界中を駆け回るような青年達になっていることでしょう。
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これは現在の子ども達の作品です。生き生きした絵ばかりですね。
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これまでに卒業していった子ども達の集合写真も、このように展示してあります。これも小さい学校だからこそ出来ることなのでしょうが、作品や写真たち全ても山口小学校を構成している重要な一部なのですね。
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画像に見える「校章」のプレートも、「ようこそ山口小へ」のプレートも卒業制作です。自分が卒業した後、こんな風に作品が母校の役に立っていることを目の当たりにすると、うれしいでしょうね。
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玄関から廊下を通り抜けて、グラウンドの方へ出てみます。
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広いグラウンドと地区の山並みが広がります。
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グラウンド側から見ると、こうなっています。
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グラウンドにも沢山の思い出が残っていることでしょう。こういった遊具で遊んだり・・・
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運動会で、走り抜けたトラック。
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毎年、新一年生を迎えてきた桜の木。もう来年の新一年生を迎えることはできません。
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伸び続けた枝は、フェンスをも突き破ったようです。切り残された枝の一部がそのままフェンスに残されていました。
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子どもたちを見守ってきた大クスと体育倉庫。
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グラウンドの入口。
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グラウンドを突っ切って下っていくと、この景色が見えます。
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ともかく、今すぐここに来れない方もおられるかもしれないと思い、いろいろな場所を撮りましたので、紹介いたします。

生徒用の下駄箱ですね。作業用の長靴を置く場所もあるようです。
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グラウンドの横のスペースにある「山口っ子元気畑」。上の方に並んでいるのはお茶の木で、茶摘みも行っているようです。
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給食の搬入でしょうか。
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裏手にあるWCです。
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更に奥にはウサギの飼育小屋がありました。
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彼は小学校が無くなることをわかっているのでしょうか!?
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体育館入口より校舎を見下ろした図。
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体育館の靴箱です。きちんとそろってますね。
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図書室でしょうか。
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図書室前から玄関方向を見た図。こんなにも長い廊下です。
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こちらは音楽室です。講堂や会議室としても利用されているのでしょうか。これだけの広さがあれば、ちょっとした発表会や集会は十分できそうですね。
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高学年用の下足場でしょうか。
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短い間の訪問でしたが、こんなに「去りがたい」思いを持った学校は初めてでした。
今年(平成25年度)11名の子どもが在籍して、来年度にもひとりの新1年生が入学する予定があったそうです。
「139年の歴史に幕を閉じる」と言ってしまえば一言ですが、地域のアイデンティティとも中枢とも言えるこの学校が、来年度以降存続することができないという現実を、心の底から辛く悲しく思いました。
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こちらの動画より、空撮を行う時の様子や山口小の全景を見ることができます。実に素晴らしい映像ですので、ご紹介いたします。




山口小学校校歌

作詞 吉富 新一
作曲 伊藤 英一

1.
朝日かがやく 雲仙の
たかねを仰ぎ 父母の
めぐみ溢れる 学舎に
今ぞ明るく 学ぼうよ
われら 山口小学校

2.
薫る愛宕の 空晴れて
平和の花の 咲く丘に
あしたに夕べ たゆみなく
今ぞ仲よく 励もうよ
われら 山口小学校

3.
港はあけて 天草の
はるかに霞む なだをこえ
正しく強く 朗らかに
今ぞ元気で 進もうよ
われら 山口小学校

南島原市HPより 「山口小学校よりお知らせ」
こちらからお便り、思い出写真館など閲覧することができます。

http://www.city.minamishimabara.lg.jp/kyouiku/intro/pub/detail.aspx?c_id=128&id=28