2011年9月30日をもって佐世保エクラン東宝が閉館しました。客足の低迷で資金繰りが悪化したためとのこと。
堂劇場は大正時代に旗揚げした「弥生座」から創業90周年を越える老舗劇場だったのですが、最近では一日の入場者が10~20人くらしかなかったそうです。これで佐世保市内の単館劇場は全て姿を消し、県内においてもいわゆるミニシアター(長崎セントラル劇場)と成人映画館(長崎千日)を除いては、単館劇場は諫早パルファン、ただ一館のみとなってしまいました。
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↓ (2011.9/30の映画欄より)
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かつて昭和20~30年代、あれほどあった映画館は、なぜこれほどの勢いで風化・消滅してしまったのでしょう。

私が佐世保市に6年ほど住んでいたした時代、とても印象の強い単館上映の思い出があります。場所はエクラン東宝だったか、あるいは2005年に閉館した東宝ピカデリー(島瀬町)だったか、はっきりしないのですが。
それは1992年(平成4年)に公開された、トム・クルーズ主演のアメリカ映画「ア・フュー・グッド・メン」でした。
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時は1991年に始まった湾岸戦争の頃。
勤務していた中学校から帰りがけ、劇場に入ると、日本人は私だけで、その他ぎっしりと詰まった観客はまだ軍服を着たままのアメリカ軍の軍人さん達でした。劇場はアメリカ海軍佐世保基地からも近かったので、勤務後の軍人達がそのまま入館していたようでした。

ストーリーはトム・クルーズ扮する若き海軍内部調査部の若き弁護士が、軍組織内にはびこる巨悪と立ち向かうというもの。・・・・身じろぎひとつせずスクリーンを見つめる軍人たちのシルエット。そこは完全に「日本でもない、アメリカでもない、特別な空間」でした。その時の何とも言えない、張りつめた空気感はまだはっきりと覚えています。
学徒報国隊274

そこにいた軍人たちの感じていたことが、ダイレクトに伝わってきました。こういう空間はシネマ・コンプレックスのような場所であったら、絶対にできなかったと思います・・・。
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それにしても、あの大らかでよかった単館劇場がなくなってしまったことは、何としても残念としか言いようがありません。

ニーチェはこういう言葉を残しています・・・
『 自分の本業の仕事に力をそそぎ、充分に成果を得ている人は、同じような仕事をする人や商売がたきに対しては寛容で、理解ある広い態度を示すものだ。
 しかし、自分の仕事を充分になしきってない人、お金目当てだけで渋々働いているような人は、商売がたきに対してあらぬ恨みや憎しみを抱く・・・・ 』

何か現代の経営理論を指しているような気がします。「同業者よりとにかく1円でも安く、安く・・・・」という大資本は創業50年、100年という老舗を、その文化ごと根こそぎ刈り取ってしまったような気がしてなりません。

「いつから入場してもいいし、何回観てもOK!」 
「持ち込み、OK。子どもたちはお菓子やお昼のパンを持って映画館に行った」
「2本立が当たり前で、本命がいまいちでも、案外同時上映の方がおもしろいということもあった」
「映画に拍手したり、掛け声をかけたり、まれには踊ってるような観客もいて、おもしろかった」
・・・そういう寛容さがとても懐かしかったりします。(画像は2005閉館の東宝ピカデリー)
ピカデリ

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