一度トピックにした安本 末子さんの「にあんちゃん」ですが、その後同書を読み返すに連れ、深まる思いもあり、もう一度書いてみたいと思いました。
下の記事は西日本新聞佐賀版に掲載された「にあんちゃん」特集の一部です。「にあんちゃん」こと、安本高一(やすもと たかいち)さんのことが紹介されています。タイトルは「スターだった、にあんちゃん」となっています。確かに成績優秀で、スポーツも万能、中学校では生徒会長などもしていますが、私はむしろタイトルのように、「まるで寅さんのようにバイタリティーがあり、魅力的な子ども」だった!・・と称したいのです。
niannchan079

両親に死なれ、住む家さえ無かった、という状況におかれても人一倍努力を惜しまなかったのは、下に妹末子がいたところが大きかったでしょう。
自分は弁当を持たずに学校へ行き、お昼に末子が自分の弁当を「食べんね」と言ってきた時には、きびしく「お前が食べれ!」と叱っています。
妹、末子の前ではいつもスーパーマンで強くきびしい兄ですが、周りに誰もいないときには、人知れず涙を流すということも何度かあったことが、「にあんちゃん」収録の高一の日記からわかります。

niannchan080

かように妹のことを心配し、兄や姉を思いやったにあんちゃんでしたが、記事にもあるように、底抜けに前向きで「こう!」と決めたらそのまま突き進む決断力がありました。
自身が中2の時、いよいよ兄妹の生活がままならなくなった時に、いりこ工場でバイトしたお金を持って、「東京がボクを呼んでいる!」と単身東京行きを決意します。

バスに乗る時に末子さんに言った言葉がまたいいのです。
「末子、もう「一生あえんかわからんばってん、元気におれね」
「いくら、あんちゃんやおい(おれ)ばよんでも、帰ってこんとやっけんね。しっかりして勉強せんば」
それを聞いて涙する末子さんに対し更に・・
「心配すんな。死にはせんさ。どがんか(どうにか)なるよ。」と。
中2なのに、まるで寅さんみたいなこと言ってますね。しかもこちらはリアルですからね・・!
(結局、就職を頼み込んだお店の主人が警察に通報したため、送り返されることとなりますが・・・・)

朝鮮出身で身寄りもなく両親に先立たれ、極貧状態が続き、その上兄妹離散という憂き目に遭いながらも、書籍「にあんちゃん」が暗くなく、読後心にあたたかいものが残るのは、このにあんちゃんのキャラがあまりに魅力的なおかげでしょう・・・
この強烈な「バイタリティー」こそが、現代の子どもたちが失ってしまった一番のものかもしれませんね。

「にあんちゃん」が昭和28年に映画化された際、監督の今村昇平さんは、そのにあんちゃんのバイタリティーをやはりクローズ・アップしてとらえていたようです。流石ですね!
ちょうど、映画の中のその辺りが動画として見つかりましたので紹介しておきます。




「炭鉱町に住んだ人々」 記事一覧

br_decobanner_20110210085115