映画「自転車泥棒」(1948年・伊)を初めてみたのは、学生時代で、もちろん独身でしたが、この映画の中のいくつかのシーンは、深く私の脳に焼き付かれていた・・と思うことがあります。海馬に入っていた、と言うか。
bicycle
それは下の2シーンです。

2年間の失業中、やっとありついた仕事の条件である「自転車」を盗まれてしまったアントニオは、息子ブルーノを連れて犯人を捜しにいきます。
手掛かりの老人を逃がしたことをブルーノに責められたアントニオは、ついブルーノに手を挙げてしまいます。
ブルーノを川のそばに残し、再び老人を捜し始めたアントニオの耳に、「子どもが川で溺れた!」という叫び声が聞こえてきます・・・・    (シーンは下動画の5分過ぎより)


ほっとしたアントニオは、ブルーノを連れて、普段滅多に入らないような高級レストランを連れていきます。
ずっとしょげていたブルーノに、笑顔が戻ってきたのを見て、アントニオは満足します・・・



映画では、タイトルともなったシーンが有名ですが、私の中には、この2シーンが「父親」のイメージとして深く擦り込まれていたように思います。

戦後間もない不況下のイタリア。それはやはり日本と同じく、貧しかったけど、親子や人と人の距離がとても近かった時代だったのですね・・・・。


br_decobanner_20110211104502

「美術・映画・芸術」 記事一覧