「唯一の信号 社会勉強の場」
5月25日の長崎新聞に掲載された、元・炭鉱の島、池島でのトピックスです。記事によると、小中学校前にある、この信号機は人口が多く車も多かった頃に設置された島唯一のもので、ほとんど車の通らなくなった今も、「本土に渡った時に事故に遭わないように」或いは「将来困ることのないように」と交通安全教育に使われている・・・というものです。
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長崎では最後から2番目、昭和61年に閉山した高島にも、島の子どもたちの安全教育のための信号機が、一ヶ所だけ残っています。こちらも「押しボタン式」の信号機ですが、信号が「赤」に変わることは、まずありません・・・
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軍艦島(端島)のような炭鉱島でも、やはり事情は同じで安全教室などが、学校のグラウンドで行われましたが、こちらは高島や池島よりも、もっと狭い島(元・岩礁の人口島)ということで、信号機以外にも配慮すべきことがあったようです。
そのひとつは、「緑」です。もとが岩礁であったという軍艦島では、炭鉱が操業していた頃は島内にまったく緑がなかったので、島の子どもが島外に出た時に芋の葉も朝顔の葉もわからず、恥をかいたことがあったそうです。それで、9階建てのアパートの屋上に青空農園が作られました。写真は、バケツで菜園に土を運び上げる子ども達です。
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完成した屋上農園の様子です。とても10階部分にあるとは思えませんね・・・。よく見ると畑の上に犬が寝そべっていますね。よほど、のぼせもん(お調子乗り)の犬のようです。鯉のぼりが見えるので、5月の畝づくりの指導でしょうか・・・
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あと、これは同じく軍艦島の幼稚園の室内にあった人口池です。こちらは10階建てのアパート65号棟のその上にありました。水に苦労したこの島には、淡水魚というものがいませんでしたので、園児たちに活きた金魚やフナを見せたかったのだと思います。
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親が子に託す思いというのは、もちろん全ての親にとって共通のものでしょう。しかし、小さな島暮らし、加えて明日の我が身も知れぬ・・という炭鉱マンたちにとってのそれは、尚更大きく強いものだったでしょう・・・・。



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