昨年12月10日放送された、NHK福岡放送局・開局80周年記念ドラマ 「見知らぬわが町」は、秀逸な作品でした。「これは、映画作品として、全国の劇場で公開されても十分鑑賞に耐えられる!」と思っていたのですが、やはり全国放送が決まっているそうです・・・

平成23年 3月21日(月・祝) NHK総合 10:05 ~ 11:19

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原作は中川 雅子さんの著書「見知らぬわが町 1995~真夏の廃坑」です。この本のことは、知っていましたが、読んだことはありませんでした。
ストーリーは、福岡県大牟田市で父と二人暮らしの高校生の女の子が、市内に残る竪坑やぐらに興味を持ったことから展開していきます・・・・
下のシーンは、官営時代、炭鉱で強制労働をさせられた囚人たちの墓石を拝む・・という場面です。
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ストーリーについては、見ていない方も、ぜひ3/21の放送を見て欲しいと思いますので、触れないようにしますが・・・・

すべてに嫌気がさしてしまった主人公は、不登校で父親とも断絶・・という状態になりますが、炭鉱の歴史を独自に調べていくうちに自分の方向性を見いだしてゆくことになります。
日本には数少ないと思われる、青年期への扉を押し開いてゆこうとする少女の、いわば青春ストーリーとなっています。
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主人公の祖父は元鉱員で、事故にあってから後遺症(CO中毒)に苦しむという設定です。実際、三池鉱の歴史の中では、大きな事故だけでも昭和19年の坑内火災で57人、同38年に炭塵爆発で458人、同59年に坑内火災で83人という死亡者を出しています。明治期から閉山までの累計では、軽傷者以上は約37万人と言われています。
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舞台となった大牟田をはじめ、各地で反響が大きく、番組を受けて学習を組み立てている高校や中学も多いと聞きました。
実際に、このドラマをきっかけに身近な場所にあった炭鉱や近代化産業遺産などを調べていこうとする若者が増えるといいと思います。
きっと予想以上に大きな広がりを実感するだろうと思うのです。
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ドラマの中では、坑内事故~CO中毒症、囚人労働、エネルギー政策の転換と景気などが取り上げられていました。
しかし、避けては通れないものが、他にもいっぱいあります。
戦争中、朝鮮半島や中国から強制連行された人たち、そして連合国軍の捕虜たちが、各炭鉱でも過酷な労働を強いられたという歴史。
そして労働争議。特に三池鉱では、昭和34年~35年、「三池闘争」として後世に伝えられた労働争議の歴史を素通りするわけにはいかないと思います。

↓「去るも地獄、残るも地獄」の言葉の意味するものは何か?
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会社側が打って出た、ロックアウト戦術とは?
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この小さな点は、ひとつひとつが鉱員の頭です。この数だけ、家庭があり、暮らしがあったわけです。
画像は「退職者勧告状返上集会」の様子です。
「退職者勧告状」とは、どのようなものだったのでしょうか?
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会社側からロックアウトを解除された「第二組合」の組合員が就業しようとするのを阻む三池労組のピケを角材や武器で脅している暴力団員の姿です。
第二組合とは?ピケって?
なぜ関係ない暴力団が、労働組合員を暴力で脅しているの?
そもそも暴力団って、どうやって資金を稼いでいるの?(現在もなお!)
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そして、なぜ暴力団に殺された犠牲者まで出したのか?殺されなければならなかったのか?
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そもそも三池争議が起きた背景は何なのか?
この争議の、わずか3年後に起きた、死者458人、CO中毒者839人という大事故は何を意味するのか?

・・・・ぜひ若い世代に、自分の探した資料で調べ、自分の感性で、その答えを見つけてほしいと思います。
その時には、きっと「炭鉱」という言葉の響きも違って聞こえると思います。
そして、下画像の、「監視小屋で見張りをしている母親と子ども」の、裏の素顔もきっと見えてくるだろうと思うのです・・・
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NHK福岡放送局 「見知らぬわが町」
http://www.nhk.or.jp/fukuoka/drama/wagamachi/index.html


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