『 子どもだった 懐かしい自分に出会える本 』
江島 達也著 2011年3月 長崎新聞社
ISBN 978-4-904561-22-5 69P 21×21cm 定価 ¥1,200 + 税
長崎県内すべての郡市を舞台に、親子はもとより、先生と子ども、祖父母と子どもなど、ちょっとクスッと微笑ましい情景を文章と絵でつづったイラスト&エッセイ集です。
2007年10月から2010年2月に長崎新聞・生活文化欄に掲載された25編に、描き下ろし「軍艦島タイムスリップ編4編」を追加しています。
「小学生でも読めるものを!」というコンセプトでかかれたエッセイですので、現在「子どもである」方も、「昔、子どもであった」方でも気軽に読める、ながめられる本であると思います。
また長崎各地のどこにでもあるような風景と長崎弁のやりとりを楽しんでいただければ幸いです。
アーティストの竹本 孝之さんからコメントを頂きました。竹本さん、ありがとうございます!
『 方言には色がある。その言葉を聴くと思い出される、その時その時の景色がある。』
私の故郷、長崎の四季を綴ったこの「僕の子ども絵日記」は、まさしく私が過ごした少年時代の記憶そのものだ。昭和40年に生まれた私は、第二次ベビーブーム世代とでもいうのだろうか。その当時、滑石に住んでいた私が通っていた小学校(大園小学校)には子どもが溢れ、何をやるにも大騒ぎ。町の行事等も大いに盛り上がったものだ。今に比べて遊ぶ道具は無かったが、そのぶん知恵があった。三角ベースや陣取り合戦、ひとりで遊ぶ機会のほうが少なかった時代。高度経済成長の真っ只中、決して裕福では無かった少年時代を過ごした私は、年上の兄ちゃん達と一緒に遊ぶ中で、色々な事を学んだ。遊びの場がもうひとつの学びの場になっていた時代だった。
そんな私も今年46才になった。長崎を離れ、早いものでもう30年になる。帰省する度に町の変化に驚かされるが、それは仕方の無い事なのだろう。
しかし、この「僕の子ども絵日記」だが、頁を一枚めくる度に暖かく、そして切ない気持ちになるのは何故だろう…。
変わり行く長崎の忘れてはならない原風景が、お国訛りと共にこの本には描かれている。望郷の中にある、懐かしいあの方言を思わず口に出してみる。と、知らず知らず笑顔になっている自分に気付くのだ。
昭和の子ども達にも、平成の子ども達にも見せてあげたい、
私の大切な、そして大好きな一冊となった事は間違いない。
2011年 竹本孝之
〇対州屋通販ショップより お求めください
(著者 江島 達也)
追伸 広島県の方から、拙著に対し、とても有難い言葉を頂きましたので、手前みそだと謗られるかもしれませんが付記させて頂きます。私にとって、これほどあたたかく、力強く、励ましてくれるアワードはありません。
ありがとうございました。
「おかあちゃん もういっぺん 会いたいばい!」
小さい頃 家に風呂は無く いつも近くの銭湯に行っていた
テレビでよく見る風呂上がりのコーヒー牛乳は
ぜいたくすぎてあまり飲んだことはなかった
それでも銭湯の帰りに
隣の駄菓子屋で棒アイスを買ってもらった
カップ入りのアイスはぜいたく品で
風邪をひいたときだけ 買ってもらえた
トイレは ポッチャン便所(汲み取り式)だったから
夜行くのが ほんとこわかった
車なんてなかった
だから……
休みの日の楽しみは 平和公園に弁当を持って出かけたり
広島駅ビルの屋上の乗り物に乗ることだった(※今はないですよ~)
塾なんてないから
学校から帰って宿題をして 日が暮れるまでずーっと友達と遊んだ
ゲームなんてなかった
ケンケンパー だるまさんが転んだ 鬼ごっこ かくれんぼ
たとえ道具は無くても
友達さえいれば どんな遊びでもできた
ほんと楽しかった
何にもなくても楽しかった
何もないことが楽しかった
急に……
母のぬくもりが懐かしくなった
そして思わず 母に話しかけた
おかあちゃん 久しぶりたい
今 どうしよっと?
あっちの生活も長かけど もう 慣れたと?
おかあちゃんの生まれ故郷の長崎ん人が出した
心がと~っても優しくなる本を買うたとばい
そいで その本を読んどったら
小さい頃を思い出して
涙が止まらんようになってしもうたとよ
おかあちゃん 今 元気にしとっと?
あ……
あっちの世界は もう 病気とかなかかー
ごめんね……
うちは 長崎ん人じゃなかけん
長崎弁をうまくしゃべれんとよ
ねぇ おかあちゃん
お願いがあるとやけど……
今日は 話をずっと聞いてくれんね?
話したかこと いっぱいあるとよ
今日だけでよか
今日だけでよかけん……
ん……?
やっぱい そいは どうでんよか
そいより……
やっぱい そいより……
おかあちゃん もういっぺん 会いたいばい!