アトリエ隼 仕事日記

長崎の遺産とも言うべき炭鉱・教会・対州馬など、「よかもん」をご紹介いたします・・・

対州馬の飼養と調教 19「 馬を叩く、打つということは馬にとってどのような意味があるか 」

馬を叩くという行為は、これは競馬では通常の行為と言えますが、感情に任せて行われる場合はただの虐待であるし、馬との関係を著しく悪化させるものです。しかし、これが「no good」を伝える行為として適度な強さとタイミングで行われる場合はコミュニケーションとなります。
一般的に誤解されやすいのは、同じ力で叩かれたとしても、馬は人ほど敏感には感じないということです。夏にはサシバエという吸血バエが多数馬の体にたかることとなるが、これをハエ叩きで叩かれることは馬はまったく苦にしません。鞭は叩くための道具ではありません。


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対州馬の飼養と調教 18「 どうやって調教を受け入れるようにするか 」

本来、調教とは「人間にとって都合のいい動作をさせること」であって、馬にとってのそれではありません。
その最も酷いエゴが戦争に使用したり、炭鉱の坑道内で使用したことでしょう。
馬にとって人を乗せたり、荷物を運んだり、或いは農機具を曳くことも馬の本意とは言えず、人の都合によるものです。人の望む要求に対して少しでもできた場面に接した時には、すかさず褒める(OK、それでいいと伝える)言葉をかけなければなりません。馬は言葉の内容は理解しませんが、OKの時の言葉とNo goodの言葉は決めておき、褒める時は穏やかなトーンで、No goodの言葉は大きく早く掛けます。しかし、調教においてもうひとつ重要なファクターがあります。それは人間の教育にも共通することですが、「やれば、後でいいことが待っている」ということです。特に動物にとって、その動作をすれば、後で食べ物をもらえるということは、とても効果が高いということは理解してもらえるでしょう。私は、まず朝夕の餌やりの時にも必ず最初に1/4欠片ののリンゴを与えます。それは人間がやってきて、それから行うことは餌をもらえる、良いことにつながるとイメージ付けるためです。
まったく人間が触れたことの無かったひん太にまず、無口頭絡をつけ、引き綱を付けて歩かせ、そして停める。その次は「はみ(ビット)」を口に含ませるのですが、特にこの「はみ」に慣れさせる段階で食欲を利用します。まず最初の段階は柔らかな素材でできた「はみ」を口の中に入れさせるのですが、これにはあらかじめリンゴの匂いのついたもの(ドイツ製)を使いました。この素材には馬の好みリンゴのフレーバーがついているので、馬は口の中でゴリゴリとかじっています。十分に慣れてから今度は実際の金属製のはみにリンゴ・ジャムを塗り、口の中に咥えさせます。こうして自然とはみを受け入れるようになり、やがてははみにつけた曳き手で「進む」「止まる」の意志を伝えられるようになります。馬の場合、イルカのようにしょっちゅう動作のたびに餌を与えることはしませんが、すべてが終わった後には餌を与えて締めくくるべきです。
こうして、馬は調教(仕事)を受け入れていくようになります。基本は「人も馬も楽しみながら、徐々に進歩していく」ということです。

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対州馬の飼養と調教 17「 対州馬を調教する際、鞭は必要あるか 」

無くて構いません。もちろん個体差はあるでしょう。しかし、私は未調教から始めて、途中からまったく鞭は使いませんでした。鞭はまったくもって有効ではなかったからです。むしろ妨げでした。いたずらに馬を驚かせて恐怖心を抱かせただけであったかもしれません。この点については、今も申し訳ないという気持ちでいます。もちろん鞭は打つものではないので、一度も打ったことはありません。しかし地面を激しく打って音を立てたことはありました。その時、自分の心は「馬を怯えさえ、服従させよう」という意図があったと思います。しかし、それはまったく有効ではありませんでした。反抗も招きませんでしたが、服従にも結び付きませんでした。それで、鞭を置いたのです。
鞭の役割として、「刺激を与える」「境界をしめす」「尻尾の位置として示す」などの意味はあるかもしれませんが、対州馬の調教においては、なくていいとしか言えません。


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対州馬の飼養と調教 16「 対州馬を調教する際の調教者の体の向きと動作 」

これは調教において最も重要なファクターの1つであり、これがいわゆる「馬語」と言ってもよいものです。馬を扱う人は「馬語」が話せなければ、どうしようもありません。
「そんなものは、どうでもよい。とにかく気合で馬を動かす」等と言う人がいるとしたら、その人は根本的に「馬」という動物を知らないということです。このことは「馬と踊ろう」のクラウス・フェルジナンドやモンティ・ロバーツも著書の中で繰り返し述べています。特に馬に対する向きと位置関係は極めて重要です。馬は群れ社会で行動する動物であり、群れを統率するリーダー(アルファ)は、その体の向きと距離で群れへの支持を与えているのです。馬を調教する者もこのリーダーという立場になければならず、従ってその人の体の向きと位置関係はとても重要な意味を持ちます。ざっくりと説明すると、正対すれば、それは「待て」「動くな」という意味であり、反対に背を向ければ「これから移動するので、ついて来い」という意味になります。そのことを理解した上で曳き馬なども行わないと馬との主従関係を築くことができず従って調教も進みません。真横や斜め前、後ろにも意味があり、その辺りの説明は長くなるので省くことにします。前述の著書を読んでみれば詳しく述べてあるので一読を薦めます。

そして。動作もまた重要な意味を持ちます。手を挙げる、馬の顔の前に出せば「ちょっと待て」「おいおい!」という意味になる。どうしても注意を引かないといけない緊急時には大きな手足の動きを伴った全身運動でそれを伝えます。この原理は考えてみれば、人に対する場合と同じことなのです。
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対州馬の飼養と調教 15「 対州馬の言葉の理解 」

これも対州馬に限らないことですが、基本、言葉の意味は理解しません。ただ、馬に話しかけることは、馬との関係を築く上で重要です。これは、馬が言葉の意味を理解して反応するのではなく、声のトーンを感じ分けて反応するからです。
言葉はいろいろあると思いますが、「よい」「OK」という意志を伝えるには、低くゆっくりしたトーンの言葉を発してやります。逆に「わるい」「No good」という意志を伝えるには「シッ!」などという高いトーンの言葉(音)をすばやく発します。舌鼓(ぜっこ)の出し方もこれに準ずます。
もちろん声の大きさも意志の伝え方に大きく関係します。


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プロフィール:江島 達也
 長崎市泉町生まれ。 私の「故郷」は戦後間もない頃造られた、お風呂もないアパートで棟の名が「隼(はやぶさ)」。それが絵師としての屋号です。群馬大学教育学部美術科卒。 大学の4年間、実にボンクラな学生でしたが、4年目は仲間と自主ゼミを立ち上げJ・デューイやM・モンテッソーリなどの教育学を学びました。この頃、前橋市内にあったフリースクール(オルタナーティブ・スクール)をつくる会などに参加しまして、この時期の様々な社会人との出会いが、その後大きな影響となりました。
包装機械メーカーの東京営業所に入社、8ヵ月後退社。平成2年より長崎県教員として県内各校に勤務しました。 平成17年末退職後、フリーのイラストレーターとして活動開始。
平成23年3月 「僕の子ども絵日記~ながさきの四季」(長崎新聞社)出版 
平成24年 「長崎の坂道で対州馬の荷運び再現」プロジェクト。25年 再び長崎市で対州馬による荷運び業再開を目指し「對州屋」として活動開始。29年 あさひ日本語学校・校長職を兼任。
〒852-8065
長崎市横尾町
tek/fax095-857-5236


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