アトリエ隼 仕事日記

長崎の遺産とも言うべき炭鉱・教会・対州馬など、「よかもん」をご紹介いたします・・・

対州馬の飼養と調教 18「 どうやって調教を受け入れるようにするか 」

本来、調教とは「人間にとって都合のいい動作をさせること」であって、馬にとってのそれではない。
その最も酷いエゴが戦争に使用したり、炭鉱の坑道内で使用したことだろう。
馬にとって人を乗せたり、荷物を運んだり、或いは農機具を曳くことも馬の本意とは言えず、人の都合によるものである。人の望む要求に対して少しでもできた場面に接した時には、すかさず褒める言葉をかけなければならない。馬は言葉の内容は理解しないが、OKの時の言葉とNo goodの言葉は決めておき、褒める時は穏やかなトーンで、No goodの言葉は大きく早く掛ける。しかし、調教においてもうひとつ重要なファクターがある。それは人間の教育にも共通することだが、「やれば、後でいいことが待っている」というものだ。特に動物にとって、その動作をすれば、後で食べ物をもらえるということは、とても効果が高いということは理解してもらえるだろう。私は、まず朝夕の餌やりの時にもかならず最初に1/4の欠片ののリンゴを与える。それは人間がやってきて、それから行うことは餌をもらえる、良いことにつながるとイメージ付けるためだ。
まったく人間が触れたことの無かったひん太にまず、無口頭絡をつけ、引き綱を付けて歩かせ、そして止める。その次ははみ(ビット)を口に含ませるのだが、特にこのはみに慣れさせる段階で食欲を利用する。まず最初の段階の柔らかな素材でできたはみを口の中に入れさせるのだが、これにはあらかじめリンゴの匂いのついたものを使った。この素材には馬の好みリンゴのフレーバーがついているので、馬は口の中でゴリゴリとかじっている。十分に慣れてから今度は実際の金属製のはみにリンゴ・ジャムを塗り、口の中に咥えさせる。こうして自然とはみを受け入れるようになり、やがてははみにつけた曳き手で「進む」「止まる」の意志を伝えられるようになる。馬の場合、イルカのようにしょっちゅう動作のたびに餌を与えることはしないが、すべてが終わった後には餌を与えて締めくくるといい。
こうして、馬は調教(仕事)を受け入れていくようになる。

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対州馬の飼養と調教 17「 対州馬を調教する際、鞭は必要あるか 」

無くて構わない。もちろん個体差はあるだろう。しかし、私は未調教から始めて、途中からまったく鞭は使わなかった。鞭は有効ではなかったからだ。むしろ妨げであったかもしれない。いたずらに馬を驚かせて恐怖心を抱かせただけであったかもしれない。この点については、今も申し訳ない気持ちでいる。もちろん鞭は打つものではないので、一度も打ったことはない。しかし地面を激しく打って音を立てたことはある。その時、自分の心は「馬を怯えさえ、服従させよう」という意図があったと思う。しかし、それはまったく有効ではなかった。反抗も招かなかったが、服従にも結び付かなかった。それで、鞭を置いたのだ。
鞭の役割として、「刺激を与える」「境界をしめす」「尻尾の位置として示す」などの意味はあるかもしれないが、対州馬の調教においては、なくてもよいとしか言えない。


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対州馬の飼養と調教 16「 対州馬を調教する際の調教者の体の向きと動作 」

これは調教において最も重要なファクターの1つであり、これがいわゆる「馬語」と言ってもよいものである。
「そんなものは、どうでもよい。とにかく気合で馬を動かす」等と言うものは、根本的に馬という動物をしらない者である。このことは「馬と踊ろう」のクラウス・フェルジナンドやモンティ・ロバーツも著書の中で繰り返し述べている。特に馬に対する向きと位置関係は極めて重要である。馬は群れ社会で行動する動物であり、群れを統率するリーダー(アルファ)は、その向きと距離で群れへの支持を与えている。馬を調教する者もこのリーダーでなければならず、従ってその向きと位置関係は重要な意味を持つことになる。ざっくりと言えば正対すれば、それは「待て」「動くな」という意味であり、反対に背を向ければ「これから移動するので、ついて来い」という意味になる。そのことを理解した上で曳き馬なども行わないと馬との主従関係を築くことができず従って調教もできない。真横や斜め前、後ろにも意味があり、その辺りの説明は難しいので省くことにする。前述の著書を読んでみれば詳しく述べてあるので一読を薦める。

そして。動作もまた重要な意味を持つ。手を挙げる、馬の顔の前に出せば「ちょっと待て」「おいおい!」という意味になる。どうしても注意を引かないといけない緊急時には大きな手足の動きを伴った全身運動でそれを伝える。この原理は考えてみれば、人に対する場合と同じことだが。
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対州馬の飼養と調教 15「 対州馬の言葉の理解 」

これも対州馬に限らないことだが、基本言葉の内容は理解しない。ただ、馬に話しかけることは、馬との関係を築く上で重要と言われる。これは、馬が言葉の内容を理解して反応するのではなく、声のトーンを感じ分けて反応するからである。
言葉はいろいろあろうが、「よい」「OK]という意志を伝えるには、低くゆっくりしたトーンの言葉を発してやる。逆に「わるい」「No good」という意志を伝えるには「シッ!」などという高いトーンの言葉(音)をすばやく発する。舌鼓(ぜっこ)の出し方もこれに準ずる。
もちろん声の大きさも意志の伝え方に大きく関係する。


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対州馬の飼養と調教 14「 対州馬の蹄の管理 」

対州馬に限らず、馬の飼養において、なかなか大変なのが、この蹄の管理。
蹄は健康状態のバロメーターでもある。すなわち、餌の種類や量が適切でないと、蹄の軟弱化として現れて、最悪の場合取り返しのつかないことになる。また、裏彫りと呼ばれる蹄の内側の泥を掻き出す処置をしておかなければならないし、伸びすぎた蹄は敵的に削蹄しなければならない。しかし、調教のついてない馬を飼養するにあたり、もっとも苦労するのがこの蹄の管理である。
馬がきちんと調教を受けてきており、削蹄士が削蹄できるならば、このトピックスはこれ以上読み進める必要はない。
私の場合、馬が未調教で最初の放牧地が粘土質であったことが、大きな苦労の元となった。たとえ、苦労して裏掘りしても、数m動けば、また粘土質の土が詰まってしまうからだ。
また、削蹄に関しては公営競馬のある佐賀の削蹄士に何人かコンタクトしてみたが馬の調教に関してはほとんど期待することはできなかった。あくまで、その馬がおとなしく足を人に持たれ、削らせる状態でないと依頼することはできなかった。つまり削蹄士はあくまで削蹄士であって調教士ではない。
しかし、現実問題馬の蹄は伸びてくるが、おとなしく足を持たせない状態で刃物を使って削蹄するなど、できるはずがない。では、どうするか。鉄製のやすりで削ればよい。対州馬の場合、餌を食べている時など、大概のことをしても気にしない。したがって、伸びた蹄をやすりで削ることは問題ない。足を持ち上げて削れれば、それにこしたことはないが、その状態が確保できない状態であれば、やすりで削ることで問題は解決できる。やすりはネットで買えるし、高いものではない。しかし、蹄鉄を打つという場合にはもちろん足を大人しく持たせるという段階にいかなければ成立しないことは言うまでもない。
まず考えるべきことは、馬のいる場所の土の質と蹄の関係。これはかなり重要だ。ある程度の固さのある土の方が蹄にはいい。こういう場所を歩き回っていると、蹄は適度に削られ、内側に泥が詰まることも無い。さらに砂に寝転ぶ場所があるという環境づくりを目指すべきだろう。

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プロフィール:江島 達也
 長崎市泉町生まれ。 私の「故郷」は戦後間もない頃造られた、お風呂もないアパートで棟の名が「隼(はやぶさ)」。それが絵師としての屋号です。群馬大学教育学部美術科卒。 大学の4年間、実にボンクラな学生でしたが、4年目は仲間と自主ゼミを立ち上げJ・デューイやM・モンテッソーリなどの教育学を学びました。この頃、前橋市内にあったフリースクール(オルタナーティブ・スクール)をつくる会などに参加しまして、この時期の様々な社会人との出会いが、その後大きな影響となりました。
包装機械メーカーの東京営業所に入社、8ヵ月後退社。平成2年より長崎県教員として県内各校に勤務しました。 平成17年末退職後、フリーのイラストレーターとして活動開始。
平成23年3月 「僕の子ども絵日記~ながさきの四季」(長崎新聞社)出版 
平成24年 「長崎の坂道で対州馬の荷運び再現」プロジェクト。25年 再び長崎市で対州馬による荷運び業再開を目指し「對州屋」として活動開始。29年 あさひ日本語学校・校長職を兼任。
〒852-8065
長崎市横尾町
tek/fax095-857-5236


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